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おどるあほうの日々

おどるあほうの日々

5/00.3.22/怒鳴られる

 路上で踊るのもなれ、見ている人からお金をもらうこともあり、お金を入れるざるを置くようになっていた。

4月頭の公演に向けて、その構成にしたがって踊る。
判断を捨て、「意識しない」世界へ。
音楽が高鳴り、自然と声が出る。

その時、「なんしようとや」と、乱暴な男の声。

酔っ払いのおじさんに純粋に何をしているのか聞かれることはよくあったので、無視して踊る。
するとその男は「なんしようとやって言いようったい!」と怒鳴り、お金の入っているざるをけった。
皆驚いて手を止める。
男は「まじめなミュージシャンは金なんか取らん」「お前等みたいな不純なのがおるけん皆迷惑する」「金がほしいなら中州でやれ。ただし俺の仲間がだまっとらんぞ」「乞食か」
などと怒鳴り、ののしった。
かごは引っ込めるから、と言ってもなかなかインネンをやめようとしない。
私達を好意的に見てくれていた人の方が逆上し、けんかになりそうになった。

すると男の仲間と思われる男たちが現れて、男をなだめつれていった。

怖かった。
正直、路上で踊るのはやめたくなった。
踊ってお金をもらって、にっこり笑って「ありがとう」と言う自分が乞食のように思えてなさけなくなった。
路上は自分が言い出して始めたことなのに、男にどなられている間私は黙って下を向くことしか出来なかった。
皆怖かったと思う。いい気になってお金入れなんか出して、皆に怖い思いをさせた自分に腹が立った。
 
だからこそ、その後すぐに踊った。
男に気おされたままではあまりにもくやしいから。乞食で何が悪い。そんな気持ちがわきあがってくる。
 
しかし、やはり見ている人々に対する恐怖心はぬけずに、半分目をとじたままで踊った。

皆を巻き込んでまで自分はなんで踊ってるんだろうと言う疑問が、頭のすみからはなれなくなった。


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